断食(ファスティング)中の頭痛や吐き気はなぜ起きるのか。体調不良や好転反応の原因と予防法・対処法について。

断食(ファスティング)の基礎知識
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断食中は頭痛や吐き気を筆頭に、湿疹が出たり、口内炎ができたりなど、様々な体調不良に見舞われる場合があります。その原因と対策について学びましょう。

体調不良の主な原因

断食(ファスティング)中の体調不良には様々な要因がありますが、その要因として可能性が大きいのはケトアシドーシス好転反応のふたつです。また、その他の要因による体調不良やトラブルについても解説していきたいと思います。

ケトアシドーシス

頭痛・吐き気・体のダルさ・眠気
断食(ファスティング)初期に現れる頭痛・吐き気・体のダルさ・眠気などの症状の原因として可能性が高いのはケトアシドーシスです。これは体が主に消費するエネルギー源がブドウ糖からケトン体へと切り替わることによって一定数の方に起こり得る症状です。

ケトン体生成
食物の摂取によって安定的に得られていた体内のブドウ糖は、断食に入ると通常24時間以内に消費されてしまいます。体はエネルギー源を確保するために筋肉に蓄えられているタンパク質を使用しブドウ糖を作り出し、その後体内の脂質を使用しケトン体と呼ばれるブドウ糖の代わりになるエネルギー源を作り出します。

このケトン体の血中濃度が上がることで血液が酸性に傾き、人によっては上記のような頭痛・吐き気・体のダルさ・眠気などの症状が現れる場合があります。この症状も個人差が大きく、軽い頭痛程度の方もいれば、アシドーシスの期間は激しい頭痛と吐き気で一切起き上がることができず、断食2〜3日目を寝たきりで過ごす程強く出る方もいます。

また、アシドーシスの期間中は、その人が持つ様々な疾患も悪化する場合があります。例えば、偏頭痛の悪化、関節炎をお持ちの場合にはその関節の痛み、手術痕の痛み、普段より強く出る生理痛などです。

通常このアシドーシスの期間は一時的なものであり、約24〜36時間で治まります。

断食道場施設FRCでは、「ちょっと頭が重い感じがするな」という程度の軽いものまで含めると、約20〜30%の方になんらかの症状が現れていました。そして、全体の3%程度の方は起き上がれないほどの症状が出る場合が出る場合がありました。

ケトアシドーシスの予防

準備食
最も重要なことは準備食の期間をしっかりと設けることです。断食の基本は準備食:断食(ファスティング):回復食を1:1:1で設けます。100%予防できるわけではありませんが、アシドーシスになる確率を引き下げることができます。また、水分を1日2L以上摂取しながら断食をおこなうことも重要です。(理由は後述の「ケトン体の血中濃度を下げる」を参照)

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ケトアシドーシスの対処法

ケトアシドーシスと思われる症状になってしまった際には以下の対処法をとります。

アシドーシスの期間を抜けるまで耐える

ケトアシドーシスの期間は一時的なものであり通常であれば約24〜36時間で治まります。どんなに予防して断食に入り、どのような対処をしてもアシドーシスの症状が全く収まらない方は多数います。アシドーシスの期間は、体が劇的な変化を受け入れる代償と捉え、おとなしく耐えるしかありません。

ケトン体の血中濃度を下げる

最も手軽な対処法は水分を多めに摂取することです。酸性化した血液を薄めてあげること、またケトン体を尿から排出してあげることによって症状を緩和できる可能性があります。

ケトン体を中和する

血液が酸性に傾くことによって起きる症状ですので、カルシウムやナトリウム、電解質ミネラルを摂取してケトン体を中和できる可能性があります。塩分を摂取することもオススメできる対処法です。精製塩(食卓塩)ではなく、天然塩(岩塩など)を摂取しましょう。生水やミネラルの多い水も良いでしょう。硬水とはカルシウムとマグネシウムの含有量が多い水を指します。市販されているミネラルウォーターで構いませんが、断食中は吸収率が上がっており、化学物質も普段より吸収してしまうため、水以外の成分が記載されているものは全てオススメできません。

ファスティング(断食)アイテム「ヒマラヤマグマソルト」の使い方
ヒマラヤ岩塩と言えば、ピンクソルトを思い浮かべられる方が多いかと思いますが、ヒマラヤマグマソルトはファスティングやデトックスに最適なミネラルや硫黄分が豊富な奇跡のお塩、ブラックソルトです。ファスティング中だけでなく、普段の生活でもお使いいただけますので、特徴や使い方を見てみましょう。

ブレイクする

耐えられない場合には、一度断食を中断することによって症状を改善させます。原因がアシドーシスであればブドウ糖を摂取していくことによって症状が改善しますが、改善しない場合には別の原因が考えられますので注意が必要です。

ファスティング中のおすすめの過ごし方
ファスティング期間中に何をして過ごそうか、また、どのように過ごしていいのか分からないという声はよく聞かれます。ではどのように過ごすのが良いのかおすすめの過ごし方をご紹介いたします。充実したファスティング(断食)時間を。

断食(ファスティング)による好転反応

断食の好転反応

断食による解毒と排泄がおこなわれることで、断食の期間に関係なく、アシドーシスで見られる頭痛や吐き気、体のダルさなどの症状に加えて吹き出物(断食疹)・肌荒れ・口内炎・胃痛・発熱・寒気・冷や汗など様々な症状が出る場合があります。これは、好転反応と呼ばれ、その人自身が持っている体の疾患を体が自己回復させる過程で起こる反応です。この疾患は顕在化していない場合もあるため、好転反応によって自己の疾患に気づく場合もあります。

部屋の片付け

例えるのであれば、不要なものを全て押し入れに詰め込み、表面上美しく見えているお部屋の掃除でしょうか。好転反応は、ぐちゃぐちゃに詰め込んだ押し入れから荷物を取り出し、室内に広げて整理をおこなっているまさにその瞬間の状態です。一時的には雑然としていても、整理をして不要物はゴミとして捨て、必要なものは整頓して押入れに片付ければ、本当の意味で綺麗な部屋になります。

好転反応は、通常一定期間(*個人差があります)を過ぎれば、時間の経過とともに自浄作用で回復していくのが一般的です。指導者に従って断食をおこなっている場合には、この好転反応を見極めて断食を続けるかどうかの判断がおこなえますが、個人で断食(ファスティング)をおこなっている場合には断食を続けるかどうかの判断が難しいと思われます。

好転反応の予防方法

特にありません。過去のおこないの結果であり、日頃の摂生が1番の予防です。

好転反応の対処法

まずは焦らず様子をみてあげることが重要です。好転反応であれば自浄作用で時間の経過とともに回復していきます。風邪をひいた時に発熱するのと同義です。ご存知のように、現代においては、発熱は体が身を守るための生体防御機能のひとつとして理解されており、多少の熱であれば解熱剤を使用すべきではないというのが通説となってきました。好転反応も同様に体が自己の疾患を修復する過程での反応です。経過を観察しながら回復を待ちましょう。

その他の原因による不調など

頭痛や腰痛

頭痛断食の初期段階で、特に普段から塩分過多のお食事を摂られている方に起こりやすい症状です。断食中は食塩等のナトリウムを摂取しませんが、体は普段どおりにナトリウムが入ってくる予定でナトリウムを排出しようとするため、ナトリウムを尿などから排出しすぎてしまいます。その結果、細胞中のナトリウム濃度が下がり、血管が拡張し、血流が良くなりすぎる(血圧が下がる)ため、頭痛や腰痛になる場合があります。対処法としては、塩分を摂取してあげることでナトリウム不足を解消できる可能性が高いと考えられます。天然塩を摂取しましょう。

また、普段からコーヒー、紅茶、緑茶をよく飲む方(4〜5杯以上/日)は、断食の初期段階でカフェインの摂取を絶ったことによる頭痛もみられることがあります。長めの準備食期間を設けゆっくりとカフェイン依存から脱却していくことで、予防できる可能性が高いと考えられます。

寒気/冷え

寒気や冷え断食期間が長くなると人間の体は省エネルギーで活動するようになり、体温を保つためのエネルギーも節約されます。動物でいうところの冬眠に近い状態です。対処法としては、温かい柿茶やルイボスティーを摂取し、服を着込んで体温を調節しましょう。

ファスティング(断食)中に飲めるノンカフェインのお茶
ファスティング中は飲めるお茶が限られてきますが、どんなお茶なら飲めるのか、このページを見れば、解決!実際にはたくさんの種類のお茶を飲むことができます。ファスティング中でも飲めるお茶で、飽きずにファスティングを楽しみましょう。

眠気

眠気寒気や冷えの原因と同様に、断食によってエネルギーが節約されることによって起こります。無理して活動せず、休息をとりましょう。

胃痛/吐き気

胃痛や吐き気胃に何かしらの疾患(軽重を問わず)がない場合で、胃痛や吐き気が出る場合には胃酸の問題が考えられます。特に普段決まった時刻に食事を摂取している方は、食事を摂取しなくてもその時刻になると胃酸が出て胃を刺激する場合があります。対処法としては、こまめに水分を摂取して胃酸の濃度を下げてあげることで解消できる場合が多いです。また断食の初期には胃がつるような感覚を覚える方がいらっしゃいます。これは胃腸が消化に備えた状態で待機しているにも関わらず食物が入ってこない状況が続くことで起こり得ますが、数日で治まることが多いです。

便秘/下痢

便秘便に関しては個人差が大きく、便秘になる方もいれば、下痢になる方もいらっしゃいます。便秘の原因としてはそもそも食事量が減るため、体が体内にあるものを「残すべき」と判断してお通じがなくなる場合があります。排毒は7〜8割が便からと言われています。準備食をきっちりとおこない断食に向けて食事量を減らしていくことで体が貯め込むのを予防したり、スイマグなど天然素材で副作用のない下剤を利用したりすることもよいでしょう。
下痢に関しては問題ありません。水分しか摂取していないため、水便になるのが通常です。
なぜ、ファスティング(断食)時には便秘になりがちなのか
ファスティング(断食)時の便秘や、水便、下痢便。お通じの悩みは尽きないですね。ファスティング時になぜ、このようなお通じの悩みが発生するのか、理由と対処方法を探ります。このページを見れば、あなたの悩みも解決するかもしれません。

口の中のネバつき

腔内のネバつき断食中は固形物を摂取しないため、ものを噛むという行為が発生しません。その結果、唾液の分泌がうまくいかず、口の中がネバつく場合がございます。

まとめ

断食(ファスティング)中の体調不良についての知識は深まったでしょうか?断食中に頭痛や吐き気を催し、この記事にたどり着いた方が多いと思います。断食中の体調不良の原因を知ることで不安が取り除ければ幸いです。