今回のテーマは現代人にとってなぜ定期的な断食が必要なのかです。
痩せていらっしゃったり、現在の体型に満足している多くの方々は「私はこれ以上痩せる必要がないので断食をする必要がありません」とおっしゃるのですが、その方にとっては断食がダイエットの手段としての役割しか知らないのでしょう。
しかし、定期的なファスティングが必要な理由はダイエットのためではありません。簡単にいいますと、「断食でしかできないことがあるから」です。
今回は栄養学の観点から解説します。
断食は栄養学である
芸能人で例えばGacktさんや横綱白鵬関、K-1選手がファスティングをされるとき、ダイエットが理由で行うのでしょうか?
少なくとも、横綱白鵬関はダイエットが目的ということはないと思います。
断食は栄養学です。
- ビタミンCを摂った方がいいよね!
- カルシウムをとった方がいいよね!
- プロテインを摂った方がいいよね!
- 野菜を食べた方がいいよね!
- 肉を食べたほうがいいよね!
どれも言われることではありますが、これは現状の体に対して、何かを追加していくという「足し算の栄養学」です。
これに対して断食は「引き算の栄養学」です。
何も摂取しないこと、または食を減らすことによって、体がメリットを享受できます。
食事をするということは、栄養を摂取することと同時に、完璧な食事をしない限り、体にとって不用なものを意図せず取り込んでしまうということです。
例えば野菜や果物に使われる農薬や加工食品に使われる添加物、肉や魚の飼育に使われるホルモン剤等。
特に動物は食物連鎖の上位にいる生き物であるため、その過程で生物濃縮が進み、有害物質が体内に蓄積されていきます。
したがって、動物性のものほど有害物質が多く含まれている傾向があります。
このような影響を極力受けないためにも、「入れないこと」に焦点を当てた「引き算の栄養学」を意識することが重要です。
会社に例えてみましょう
例えばあなたの体を会社に例えてみましょう。
売上をあげること=即ち収入を増やすことも大切ですが、節約すること=支出を減らすことも大切ですよということです。
前者が足し算の施策だとしたら、後者は引き算の施策でしょうか。
しかし結局、利益がないと会社は潰れてしまいます。100万を稼いでも、そのために120万を使ったら、20万の赤字です。
営業マンを増やしてどんどん売上を上げていくことも、利益アップの施策(足し算の施策)ですが、例えば、六本木にある会社を立川に移転して家賃を安くしたり、事務員をリモートワークにして交通費を節約したり、光熱費や通信費を見直したりしていく。
こうやって経費を減らしていくことも、利益アップの施策(引き算の施策)です。
私たちの健康管理も同様です。
何かを足していくことも大切ですが、削減することも大切です。
結局、「〇〇を摂取したほうがいい!」と摂取して、体にとっての売上がプラス100万だとしても、トランス脂肪酸だらけの菓子パンを毎日食べて、添加物だらけのカップラーメンを毎日食べていたら、体にとっての経費でマイナス120万です。
これでは20万の赤字です。
慢性的なアトピーや蕁麻疹が改善するのも同じです。
断食と食事改善で治るのは、その原因物質が入ってこなくなるからです。
薬を追加することによって、その反応を抑えることも重要ではありますが、その反応の原因となっている物質を体内から取り除き、体内に入れないことも同様に重要なのです。
引き算の栄養学と金銭的コスト
ただ、もし100点の食事をしようとしたら、それにかかる金銭的、時間的コストが膨大にかかります。
無農薬の野菜を選び、汚染されていない魚を選び、輸入品のポストハーベストやカビの影響を調べ、外食はしないという選択をしなくてはならなくなります。
これは、多くの方にとって無理が生じます。
まず金銭的な問題です。100点の食事をしようとしたらどれだけお金があっても足りません。
そして、食材を選びだしたら怖くて何も食べられなくなります。また、人付き合いにも支障をきたしてしまいます。
それであれば、ある一定程度不要なものが入ってきてしまうのは仕方がないとして、それを排出する期間を設けることが重要です。
これが定期的な断食の習慣であり、毎月新月に3日間の断食をしている理由でもあります。
「足し算の栄養学」の前に
「足し算の栄養学」つまり、良いものを摂取することの前に、その摂取する良いものが効果を生み出せる環境を整えておくことが重要です。
ドロドロに汚れたコップにキレイな水を注いだとして、それを飲みたいと思いますか?
例えば、水彩画を描こうとしたときに、真っ白なキャンパスだからこそ色鮮やかな絵の具が映えます。
黒く薄汚れたキャンバスに絵を描いても美しい水彩画は描けません。
だから、まずは、その汚れたコップをキレイにし、汚れたキャンバスをキレイにするということをしなくてはなりません。
これが重要です。
もしあなたが今まで「マイナスの栄養学」つまり、食事から摂取してしまう体にとって不要な化学品などに気をつかってこなかったとしたら、あなたの体は汚れたコップであり、汚れたキャンバスなのです。
食品を腐らせないための保存料、美味しい香りをつけるための香料、美味しそうな色味をつけるための着色料、海洋汚染による重金属類。
これらが体にとって、プラスの働きをしていると思いますか?
こういったものを体外に排出できるのが断食なのです。
まとめ
現代社会で生きる限り、100%完璧な食事をおこなうのは、金銭的にも時間的にも難しく、人付き合いに支障をきたしてしまう可能性があります。
そうであるならば、一定程度、人体にとって不要なものも摂取してしまうことを前提として、それを排出する期間を設けていくことでバランスをとりましょう。
つまり、それが「定期的な断食」なのです。
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