トランス脂肪酸とは?
不飽和脂肪酸に分類される脂肪酸の一種です。トランス脂肪酸は天然に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがありますが、多くの場合は、後者の油脂を加工・精製する工程でできたもの(人口のトランス脂肪酸)です。
常温で通常液体状態である不飽和脂肪酸を半固形または固形に加工する際に「水素添加」が行われるのですが、化学変化により、トランス脂肪酸が生成されます。また、大量の油を効率よく精製するために、高温処理されたサラダ油などの食物油にもトランス脂肪酸が含まれることがあるようです。
世界での規制
カナダやアメリカでは患者が増していく、心臓疾患への対応策として「トランス脂肪酸をなくそう」というキャンペーンが行われ、カナダでは2005年に、アメリカでは2006年にそれぞれトランス脂肪酸の含有量表示が義務付けられました。
南米諸国(ブラジル、アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイ)でもトランス脂肪酸の表示義務が行われています。
ヨーロッパでも一定基準よりも多く含まれている食品は違法とされています。
日本と同じアジア地域では中国や韓国、台湾、香港で表示義務化されています。
さらにアメリカでは2013年、FDA(食品医薬品局)が規制案を示し、科学的妥当性の調査を行い、食品への使用に関して「一般的に安全とは認められない」と結論付けました。その結果、アメリカでは、2018年6月までに食品への添加を全廃すると発表し、現在、人口のトランス脂肪酸については全面禁止されています。
実は、世界に先がけて、2003年にデンマークがトランス脂肪酸の食品への使用を禁止しています。
日本での扱い
日本では、他の国々と違い、食品中のトランス脂肪酸について、表示の義務や濃度に関する基準値はないのですが、が、2011年2月に消費者庁が「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表しています。この指針において、食品事業者に対し、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示する取り組みを進めるように求めました。
それにより、マーガリンなどの一部食品において、「トランス脂肪酸の減量に努めております。」や「トランス脂肪酸○○%減(××年比較)」など書かれているのを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?
トランス脂肪酸が体に悪いと言われる理由・健康への影響
世界で規制されるようになぜ、トランス脂肪酸は体に悪いと言われるのでしょうか?
- 体の中で分解することが難しい
- 悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を増加させる
- 善玉コレステロール(HDL)を減少させる
- 心臓病をはじめ様々な病気の引き金になる
トランス脂肪酸は体での分解・代謝が難しく、その際に多量のビタミンやミネラルが消費されるので体にとても負担がかかります。多量に消費されてしまうビタミンやミネラルは体が上手に機能するために必要なものです。しかしトランス脂肪酸の分解に大量消費してしまうと体の機能に障害が出る可能性があります。
また、老化(シミやしわなど)やがんの原因の一つである活性酸素を作り出したり、私たちの寿命とも深い関わりのある酵素も大量消費してしまう等、美容の観点からも、非常に摂取については注意したい脂肪酸です。
トランス脂肪酸を多く含む食品
トランス脂肪酸はフライドポテトや菓子パン、アイスクリーム、ドーナツなどの食品やマーガリンやショートニングを用いたクッキーやパイ、パン、揚げ物用油、お菓子、ファストフード等の食品があります。
ショートニングとは
食物油、動物脂などを原料に作られた加工油脂で、トランス脂肪酸の一種です。油脂が100%で主に食品工業用原料に使われています。元々はアメリカでラードの代用品として、多量に生産される綿実油の利用と、ラード不足に対処する目的で作られました。
まとめ
トランス脂肪酸は多くの女性や子どもの好きな食品、また、誰でも手軽に摂取できるような食品に多く含まれています。日本ではまだ規制が特には無いため、含有量が表示されていない食品も多いのが現状です。
全てのトランス脂肪酸を避けることは難しいですが、健康維持のためにもなるべく避けたいですね。また、定期的なファスティングを行うことで体内で分解・代謝されきれない不要なものをデトックスしてあげるのもよいでしょう。
コメント