酵素不足を解消しよう
以前、現代人は酵素が足りていないという話から酵素についての基本についてお話ししました。
遺伝の主役がDNAとすると、代謝の主役は酵素になります。
今回は酵素のことがよくわからない方へお送りする実践編です。
酵素の分類
酵素は「体内酵素」と「食物酵素」の2つに分類されます。
この2つの大きな違いは体内で作られるかどうかということです。
食物酵素
こちらは食物に含まれる酵素で、体外から摂取する酵素です。野菜や果物、発酵食品など様々なものに含まれています。働きとしましては消化を助ける役割を果たしてくれます。
よって食物酵素は消化酵素の一つにあたります。
タンパク質なので、加熱することで失活つまり、酵素が壊れてしまいます。
体内酵素
こちらはまさに体内で作られる酵素のことですが、「体内酵素」は役割によってさらに「消化酵素」と「代謝酵素」に分類されます。
消化酵素
名前の通り、食べ物を消化するときに使用される酵素です。消化に手間がかかるものは、酵素が大量に消費してしまいます。
消化酵素は体内でも作られますが、体外から摂取し、補うこともできます。これが食物酵素にあたります。
例えば、大根に含まれるジアスターゼ、酵素の王様と言われる青パパイヤに多く含まれるパパイン、キャベツのキャベジン、納豆のナットウキナーゼ。
世間が酵素、酵素と言っているのは、基本的には全て消化酵素の方です。
分かりやすいもので言いますと、「キャベジン」がまさにそうですが、薬品会社や健康食品会社も謳い文句にしているため、聞いたことがあるかもしれませんね。
また、タンパク質を分解する酵素で「ペプシン」というものがあります。ちなみに、ペプシコーラのペプシはここからとっています。もともとは消化不良の治療薬として作られたようですよ。
代謝酵素
代謝酵素は細胞内で栄養素の作り変えや、組織の修復を行ったりする時に使用される酵素です。消化酵素は食事から栄養素を取り出す働きですが、代謝酵素は消化酵素が取り出した栄養素をどのように使っていくのかが働きであると考えると覚えやすいです。
新陳代謝やデトックス、自然治癒、免疫などなどに関わっています。体内では3000種類以上の代謝が行われていると言われていますが、代謝酵素の不足は「体の通常の働き」が滞るということです。だから、代謝酵素の不足は老化の促進や病気の原因になりえると言われています。
しかしながら、問題は、代謝酵素は気軽に外から取り入れることができないものであるということです。基本的には体が作るものです。断食道場でもよく質問されることですが、「代謝酵素は外から入れられないの?」と聞かれます。これをイメージで例に挙げるとすると、「君、貧血なの?ちょっと病院で赤血球入れてもらっておいでよ」と言っているようなものです。
それって医療行為レベルのことですよね。簡単に補ってあげられるものではないのです。
代謝酵素はタンパク質であるため、保存もきかず、簡単には作れません。
また、どの酵素がどの程度、不足しているかということの判別も難しいそうです。
だからこそ、代謝酵素の名前はあまり聞かないと思います。
例えば、シトクロムP450。いわゆる「シップ」と呼ばれるものです。これは解毒に関わる酵素です。
薬を処方される際、「服用期間中はグレープフルーツを控えてくださいね。」と言われることがあると思います。これは、グレープフルーツの成分により、働きが阻害されるものがあるためです。それにより、薬を上手に分解し、体外に排出することができないこと、つまり、薬の効果が本来より強く出る可能性があるのです。
実は、こうやって代謝酵素が関わっていることがあるのです。
酵素が不足すると言われるようになった理由
基本的に酵素は体が自ら作るもので、それを体内の様々な代謝に使用しています。一昔前であれば、酵素は体内で無限に作られると言われていましたが、近年では研究等により、「生涯の中で作られる酵素の数は遺伝子により決まっている」と言われています。さらに、1年間に作れる酵素の量にも条件があるというのが、今の通説です。
酵素を作れなくなった瞬間が寿命という意見もあります。
酵素が無限に作られるわけではないため、酵素の不足や摂取について議論をされるようになりました。もし、酵素が無限に作られるのであれば、酵素の原料になるものを補充してあげればよいのです。
ですが、作れる数には上限がある。だからこそ、酵素を無駄に使ってはいけないという考え方になります。
そして、不足しているといわれるのは、現代人が酵素を無駄遣いしていると考えられているためです。
酵素を使用する行為というと、昔と比べて食事の回数や量が増えている、食品添加物やアルコールの摂取、薬の服用量増加や加工食品の過剰摂取が挙げられます。また、生で食べることで得られる食物から摂取できる酵素量の減少も挙げられます。
その中でも「消化」に最も酵素が使われると言われています。
体内にものが入ってきたら、分解していくという作業を必ずしなくてはいけません。例えば内臓が消化するのが大変だからあとでいいやとすぐに消化しないでいると、数時間で食べたものは腐敗してしまいます。だから、非常に優先度が高くなります。
あなたが何かを食べた瞬間に消化酵素を使い始めるのです。復習になりますが、基本的に酵素はひとつで同じ作業を何度も繰り返せます。これを基質特異性といいました。ただし、タンパク質なので、消耗品です。一定回数使ったら交換しなくてはなりません。
だから、ものを頻繁に食べたり、大量に食べたりすることは、消化酵素の浪費につながります。大量の食べ物を消化していくためには消化酵素を大量に作らないといけなくなります。
反対に、消化するものが少なく消化酵素が十分にあるのであれば、消化酵素を作らなくて済みます。それを代謝酵素を作る方にエネルギーをまわせるということです。
簡単に言うと体内で「消化酵素の在庫がたくさんあるから、代謝酵素をつくろう!」ということが起こります。
一番最高なのは断食です。消化酵素を作る必要がないので、そのエネルギーをそのまま、代謝酵素を作る方へ回せます。
代謝酵素の役割は、細胞をメンテナンスしたり、組織を修復したりなどです。細胞のひとつひとつの状態が良くなるため、病気になる確率が減ったり、老化に歯止めをかけたりすることができます。
だから、断食をするとお肌がキレイになったという実感を持つ人が多いです。お肌、つまり皮膚も細胞です。細胞の状態が良好になるから、ハリやツヤが出るのは当たり前ですね。
まとめ
酵素は食物酵素か体内酵素かに分類できます。酵素は体内で作るのが基本になります。つまり、体内酵素が主役です。体内酵素には消化に関わる消化酵素と新陳代謝やデトックス、自然治癒、免疫などに関わる代謝酵素があります。
酵素は体内で作るのが基本ですが体内酵素の生産量には上限があります。これは遺伝に情報に組み込まれていると言われています。したがって、現代では無駄遣いせず、節約する必要があると言われています。
節約方法としては大きく分けて2つあります。
- 食物から酵素を摂り入れて消化酵素を節約する方法
- 食べることを控える等、消化酵素を使う場面を減らし節約する方法
以上によって体内酵素の内、消化酵素を生成する割合を減らしてあげることができ、その分、エネルギーを代謝酵素を作るためにまわしてあげることができます。それによって代謝酵素が十分に作られるため、次に効果が望めます。
- 病気の予防
- 老化の軽減
- 美容効果
酵素不足解消のために
酵素のことが何も分からなかったという方でも、ここだけ理解していただければ、安心です。
- 生の野菜や果物から食物酵素を摂取しましょう
- 食事の量を減らしましょう
- よく噛んで食べましょう
- 摂取する化学品を減らしましょう
- 普段から生活に断食を取り入れましょう
車のことは車屋さんが理解していれば、私たちは運転の仕方だけわかっていれば大丈夫なように、酵素についても無駄遣いをしない方法だけ理解できれば基本的には大丈夫です。
ただし、この根本の理論を理解しておくと、お食事の改善やファスティングの理論が包括的に理解できるようになります。
余談
酵素を経口摂取すること、つまり「もの食べることによって食物酵素を摂取すること」に意味があるのか?という話は今回は省いています。
もしかしたら、科学の進歩によっては数年後には「酵素の摂取なんて意味がない!」とお伝えしているかもしれませんが、それはそれでご了承いただけたらと思います。
ただし、現状、酵素を摂取した方がよいというのが2020年時点での一般論かと思いますので、こちらの路線で紹介いたしました。
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