これから紹介するのは、横綱白鵬関や読売巨人軍を始め数多くのアスリートや著名人と契約し、ファスティングや食事指導を通してコンディショニングの改善を行う杏林予防医学研究所の山田豊文氏が提唱する細胞の力を高める究極の食事術・食習慣である。
以下の点を主眼とする。
- 血糖値の過度な上昇の抑制
- 不足しがちな各種ビタミン、必須アミノ酸、必須脂肪酸の補充
- 腸内環境の最適化
断食後の回復食の基本としても利用可能である。ぜひ参考にしていただきたい。
*トップの写真は杏林予防医学研究所の講座で実際に提供された昼食
複合炭水化物の多い食事
食事を考える上で最も大切な項目はこれだ。玄米、野菜や果物、ナッツ類、豆類など複合炭水化物の比率が多い食事が重要である。しかも、これらをできるだけ加工度合いが低い状態で摂取することがポイントだ。言い換えれば、清涼飲料水(甘い飲み物)、ケーキやお菓子、精製された炭水化物(*後述)の比率を減らすことが重要である。
複合炭水化物を加工度合いが低い状態で摂取したならば、現代人にとって不足しがちな各種ビタミンやミネラルが効率的に摂取でき、腸内細菌叢を養うための食物繊維も摂取可能である。
長期間の極度な糖質制限ダイエットは腸内細菌叢に深刻なダメージを与えるため避ける。
単純炭水化物は、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖など。分子が小さく体内で素早くエネルギーに変換される。血糖値を急激に上昇させるものが多い(GI値が高い)のも特徴。
複合炭水化物とは、単純炭水化物が結合して長くなったものである。単純炭水化物よりも分子が大きく、消化されるまでに時間がかかり、分解されて単純炭水化物になってからでなければ吸収されない。体へのエネルギー供給が遅く、ゆっくりと長時間に渡って血糖値を安定的に上昇させる(=GI値が低い)。これにより、空腹感を感じづらく腹持ちがするといえ、更に中性脂肪に変換されにくい(=インスリン値が低い)ことも大きなメリットであると解される。
マグネシウムを多く含む食事
最も多くの代謝に関わるとされるミネラルがマグネシウムである。諸説あるが、700以上の代謝に必須であるというのが通説(2019年7月現在)だ。食事の中にマグネシウムを多く含む食材を取り入れることが重要である。例えば、ひじき、昆布、わかめなどの海藻類や、ごま、大豆などの種実類、野菜ではオクラ、モロヘイヤ、ほうれん草、ごぼうなど。必要量が多いにもかかわらず、現代人は意識的に摂らなければ不足しがちである。また、玄米を炊飯する際に、塩化マグネシウムを添加して炊飯するのも非常によい。
反対に、マグネシウムの吸収を阻害する高脂肪食や、マグネシウムを大量に消費してしまう過度のアルコール摂取は避けること。
食物繊維を多く含む食事
脳からの指令が無くても独立して活動することができることから「腸は第二の脳」とも呼ばれ、その重要性に異論を唱える人は少数であろう。腸内細菌の中でも特に重要なのは大腸に棲息する腸内細菌であり、それらが作り出す腸内細菌叢の健全なくして、正しい免疫系の構築、脳の発達や性格形成、健康維持など不可能といえる。健全な腸内細菌叢を保つために必要なのが食物繊維である。穀類、豆類、野菜類、海藻類、未熟な果実等に含まれる不溶性食物繊維(セルロースやリグニンなど)と、昆布やわかめ、こんにゃく、熟した果実等に含まれる水溶性食物繊維(水溶性ペクチンやβグルカン、アルギン酸など)をバランスよく摂取することが重要である。
低動物性脂肪、低オメガ6、高オメガ3の食事
まず前提としてトランス脂肪酸を含む食品(マーガリン・ショートニング等)は絶対に避けるべきである。コンビニやスーパーなで販売される大量生産されたパンなどは全てと言っても過言でないほど、これらを含むためまず避ける。その上で、動物性脂肪(乳製品、肉類全般)やオメガ6系脂肪酸(揚げ物に使用されるサラダ油等)が低い食事を意識する。反対に、オメガ6と拮抗作用のある不足しがちなオメガ3系脂肪酸(亜麻仁油、くるみ、青魚等)を多く含むものを意識し、積極的に摂取する。
油は染み込みやすく、排出されにくいため、良い油と悪い油の見極めが重要である。
低動物性タンパク質、高植物性タンパク質の食事
牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、乳製品、卵などを避け、大豆や麻の実からたんぱく質を摂取する。特に大豆は、たんぱく質の摂取源としてだけではなく、腸内細菌叢を養うための食物繊維や大豆オリゴ糖なども含まれる非常に優秀な食材と言える。
オーガニックな食材を選ぶ
できるだけ無農薬で遺伝子組換えなどが施されていない食材、オーガニック認証の食品を選ぶことが重要である。
近年問題視されるようになってきたのが、野菜そのものに含まれる栄養が減っていることである。現代農業では収穫という形で果実を刈り取ってしまうため、土壌のミネラルバランスが悪い。この意味でもできる限り自然に近い形で作られた野菜が好ましいと言える。
精製炭水化物の少ない食事
血糖値の乱高下をもたらす精製炭水化物の少ない食事をすることが重要である。白米、白砂糖、精白小麦粉などは可能な限り避ける。血糖値の急激な上昇は過剰なインスリンの分泌を促すため、体内で中性脂肪が生成されやすい。同様に、急激な血糖値の低下によって、疲労感や空腹感に襲われることがある。血糖値は安定させることが重要である。また、これらは脳の報酬系に作用しやすく、依存性も高い。できる限り避け、玄米等の代替物を摂取すること。
まとめ
7つのポイントを記載したが、全て同時進行するのが難しいのであれば、まず主食を玄米に変えることである。これが最も効果を発揮しやすい。なぜならば「主食」だからである。パンでもなく、白米でもなく、麺類でもなく、玄米にすること。それだけで不足しがちなビタミン、ミネラルを主食から効率的に摂取でき、食物繊維量も多いため腸内細菌叢を養う上でもうってつけである。また、腹持ちすることで間食を控えることが容易くなり、ダイエット効果も期待できる。
玄米に含まれる物質についても少しだけ触れておく。
ガンマオリザノール
穀類の中でも米だけ、しかも白米にはなく玄米にしか含まれない物質。膵臓の機能を回復させたり、炎症を抑えたりすることがわかっている。膵臓から起こり得る病気。つまり、糖尿病を予防、改善するだけではなく、完治させることさえも可能であると言われている驚くべき効能を有した物質である。
(ガンマオリザノール: フェルラ酸に数種のトリテルペンアルコールがエステル結合した物質の総称)
フィチン酸
フィチン酸の摂取量が多い人ほど大腸がんの発生率が低いことが報告されている。また、乳がんや肺がん、皮膚がんの予防に役立つ可能性も示唆されている。
フェルラ酸
乳がんや肝臓がんに対する抗腫瘍活性を示すとの報告や、がん細胞にアポトーシス(細胞の自殺)をさせる働き、発がんを予防する効果も持つとの報告もみられる。認知症に対する予防効果も報告されている。
GABA
発芽玄米に多く含まれる。現代社会で起こっている様々な脳機能障害の原因の一つであるグルタミン酸過剰を改善するとともに、血圧降下や中性脂肪の吸収抑制など生活習慣病の予防にも効果が期待できる。
コメント
[…] 主食を玄米に変えることで健康増進や過食防止に繋がります。細胞の力を高める究極の食事 山田豊文(杏林予防医学研究所)直伝断食アルパカ白米で作るお粥と比べて栄養素が豊富な上、作 […]
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